【12月22日 AFP】欧州サッカー連盟(UEFA)は21日、世界反ドーピング機関(WADA)が公表したカナダの法律家リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏の報告書で渦中にいるロシアのビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)副首相が、国際サッカー連盟(FIFA)の理事選で再選を目指していることを明らかにした。

 ムトコ氏は不正を行った人物として名指しされていないものの、マクラーレン報告書で「露スポーツ省の職員」による「組織的な陰謀」には、「スポーツ相及び副大臣」も加担していたとされる時期と重なる2011年から2015年に、同省のスポーツ相を務めていた。

 一切の不正行為を否定し、「国家ぐるみ」のドーピングを指摘した同報告書についても「政治介入」と批判している58歳のムトコ氏は、国際オリンピック委員会(IOC)から今年のリオデジャネイロ五輪への参加を禁止されたあと、今年10月にはウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領の下で副首相に昇進している。

 2018年W杯ロシア大会(2018 World Cup)の大会組織委員会では会長も務めているムトコ氏は、欧州では計5席となっているFIFA理事選の一枠に立候補。2006年W杯ドイツ大会の招致活動をめぐる汚職スキャンダルで、一年間すべてのサッカー活動を禁止されたボルフガング・ニールスバッハ(Wolfgang Niersbach)氏の辞任に伴い、今回の選挙では任期4年の4席と任期2年の1席が争われることになった。

 それ以外の候補者は、ハンガリーのシャーンドル・チャーニ(Sandor Csyani)氏、キプロスのコスタキス・クツォクムニス(Costakis Koutsokoumnis)氏、モンテネグロのデヤン・サビチェビッチ(Dejan Savicevic)氏、そしてアイスランドのゲイル・トルステインソン(Geir Thorsteinsson)氏の4人となっている。

 候補者5人は今月5日までに立候補届を提出しており、これからFIFAの適正審査を受けることになる。選挙は第41回UEFA通常総会の期間中である来年4月5日にフィンランドのヘルシンキ(Helsinki)で行われることになっている。(c)AFP