【12月20日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ(Gianni Infantino)会長は、世界反ドーピング機関(WADA)が先日公表したカナダの法律家リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏の報告書を受けて、2018年W杯ロシア大会(2018 World Cup)の開催地変更に向けた動きはないと明かした。

 インファンティーノ会長は、独週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)の取材に対し、「FIFAは世界の警察ではないし、ドーピングの取り締まり機関でもない。マクラーレン報告書に記載されているサッカー関連の情報については、われわれの規律委員会が対処することになる。ボイコットや制裁では、問題は何も解決しない」とコメントし、2018年W杯の開催地をロシアから変更する考えを否定した。

 今月9日に公表されたマクラーレン報告書では、2011年から2015年まで複数の競技において1000人以上のロシア人選手が組織的なドーピングに関与したことが指摘されており、その中にはサッカー選手も含まれていた。

 31人のサッカー選手の検体に異物が混入していたと記載されていたマクラーレン報告書からの「関連情報」を待っている同会長は、「何らかの対処が必要ならば、そうすることになる」としながらも、FIFAとしてはすでにドーピングの撲滅に動いていると強調した。

「2014年W杯ブラジル大会(2014 World Cup)や2010年W杯南アフリカ大会(2010 World Cup)と同様に、ロシア大会の検査については、開催国でなくFIFAが実施することになる」

 インファンティーノ会長はさらに、何か問題があれば、「それはわれわれの責任である」とすると、「しかし、われわれの反ドーピングへの取り組みは必ず機能すると確信している」と述べた。

 一方、複数メディアの報道で、サッカー情報公開ウェブサイト「フットボール・リークス(Football Leaks)」の情報として、スペイン1部リーグのレアル・マドリード(Real Madrid)に所属するクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)とイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)で指揮を執るジョゼ・モウリーニョ(Jose Mourinho)監督など、サッカー界の有名人による脱税疑惑が伝えられたことに関する質問を受けると、同会長は各国の連盟が対処すべき問題であるという見解を示した。

「スイス・チューリヒ(Zurich)本部において、FIFAが世界の移籍市場などすべての情報を把握していると思い込むのは浅はかなことだ。それは、各協会や連盟が責任を負うのが道理だと考える。移籍については、当事国でチェック体制を敷くべきだ。脱税をはじめ、スピード違反や飲酒運転などの問題は、FIFAに責任はない」

 インファンティーノ会長はまた、「フットボール・リークス」で先週情報が公表されたことを受け、来年早々にもサッカー界の各団体による会合で移籍問題を話し合うつもりであると明かし、仏調査報道ウェブサイト「メディアパルト(Mediapart)」を含む欧州メディアとのインタビューで、「選手や各クラブ、そして代理人など関係者全員だけでなく、特に欧州委員会(European Commission)など当局から意見を聞く大仕事に着手していく必要がある」と語った。

「それを考慮して、FIFAでは全関係団体が集合する委員会を設置する。最初の会合は来年のはじめに開かれることになる」 (c)AFP