■「素晴らしいコーチ」

 191センチの長身を誇るスキーンは、時速150キロものスピードで山肌を滑り降りるウインタースポーツ選手というよりも、がっしりとした体格で知られるトンガのラグビー選手に近いことを認めている。しかし、ジムで25キロ以上の減量をこなし、昨年10月からオーストリアの斜面でアイグナー氏と滑走スキルを磨き始めている。

「幸運にもヘルマンのような素晴らしいコーチがいるし、技術も経験もある指導者と練習できるのは大きな違いだ」

 12月からは種目に選んだ大回転で競技に臨み、平昌五輪に出場するためのポイント獲得を目指している。

「体を一気に覚醒させていかなければならない。滑走も含めてね。レース時のターンはものすごく複雑な動きで、身体機能を最大限に生かしながら、たくさんの要素をこなしていく」

 スキーンは、クラウドファンディングで1万ポンド(約146万円)の資金を募る過程で、「たくさんの支援に驚いているし、とても励みになっている。何年も連絡していない人たちや、話したり会ったりしたこともないような人たちからも寄付してもらっている」と明かし、懸命にトンガ代表を目指すことによって、自身のルーツに近づいていると話している。

「僕は英国育ちだけれど、自分の人生とアイデンティティーにとって、トンガは常に大きな一部となっていた。だけど、それがたくさんの人々との出会いや、家族の歴史を知ることにつながり、トンガに魅了されて、再び絆を結ぶことにもなった」 (c)AFP