■父ピーター・シュマイケルと息子カスパー

 見た目は若いころから父親とそっくりだったカスパー・シュマイケル(Kasper Schmeichel)だが、サッカー選手としての実績の面では、マンチェスター・ユナイテッドとデンマーク代表のゴールマウスに君臨した偉大な父親、ピーター(Peter Schmeichel)に長らく及ばなかった。

 ユナイテッドと同都市のライバル、マンチェスター・シティ(Manchester City)でプロキャリアをスタートさせたカスパーだが、クラブでは頭角を現すことができず。期限付きでイングランド各地のクラブを転々としたものの、結局は負け犬のようにシティを退団し、その時点ではそのまま忘れられた選手になるかに思われた。

 それでもカスパーはそこから地道にキャリアアップを重ね、まずはリーズ・ユナイテッド(Leeds United)、そしてレスター・シティ(Leicester City)で定位置をつかむと、15-16シーズンのプレミアでは素晴らしいプレーを披露し、レスターの奇跡のプレミア制覇の立役者の一人となった。

 以来、ビッグクラブからの引き抜きのうわさも出るようになっている30歳のカスパーだが、この後マンチェスター・ユナイテッドへ移籍したとしても、誰も驚かないはずだ。

■父ペレと息子エジーニョ

 悲しい例だ。サッカー史上最高の選手とも評されるペレ(Pele)だが、あまりにも有名なその名前は、息子にとって重い足かせでしかなかった。

 母親に女手一つで育てられたエジーニョ(Edson Cholbi Nascimento 'Edinho')は、18歳になるまで父親の会ったことさえなかった。それでもプロとして、1990年代にサントスFC(Santos FC)などブラジルのクラブでGKとして9年間プレーし、まずまずのキャリアを築いたことで、父親もエジーニョに対して扉を開くようになった。

 しかしピッチ外では放蕩(ほうとう)ぶりが目立ち、2014年には麻薬組織の資金洗浄に関わったとして禁錮33年の判決を受けた。その後に控訴し、長い法廷闘争を続けているエジーニョは、現在も不安定な立場に置かれている。46歳になる現在まで、彼はブラジルのさまざまなクラブでコーチングスタッフとして働いた経験を持っている。

■父アレックス・ファーガソンと息子ダレン

 アレックス・ファーガソン(Alex Ferguson)監督は、史上最高の指揮官とも称される名将で、イングランド国内と欧州でマンチェスター・ユナイテッドに数多くの栄冠をもたらした。それだけに、息子のダレンがオールド・トラフォード(Old Trafford)で選手デビューを飾ったのは驚きではなかったが、一軍定着はかなわなかった。

 選手としては、ユナイテッド以外のクラブでまずまずのキャリアを送ったダレンは、どちらかといえば、父親譲りの実直なスタイルの監督として名前を知られている。ピーターバラ・ユナイテッド(Peterborough United)で順調に指導者のキャリアをスタートさせ、ある時期には、プレミアリーグのクラブを指揮する資質を持っていると目されたこともあった。

 現在は監督としても伸び悩み、率いているのはドンカスター・ローヴァーズ(Doncaster Rovers)というフットボールリーグ2(実質4部)の無名のクラブだが、チームは現在同リーグで上位を維持している。(c)AFP/Peter STEBBINGS/Adrien DE CALAN