【12月3日 AFP】ネパールでは1982年以降、ある珍しいスポーツの国際大会が毎年行われ、選手から著名人、冒険好きの人々、そして時には初めて目にする人にも、大きな人気を呼んでいる。ゾウに乗ってプレーするポロ競技「エレファントポロ」だ。

 ルールは馬に乗って行われるポロが基になっているが、違いはゾウ1頭の背中に2人ずつ騎乗するところ。1人はゾウ使いでゾウを操り、選手は得点を上げることに専念する。選手らが使用するマレットと呼ばれるスティックの長さは、ゾウの背中から地面の球を追えるように2.5メートルもある。

「スピードが遅くて簡単に見えるかもしれないが、かなりハードだ」とネパールを拠点とするチーム、タイガー・トップス・タスカーズ(Tiger Tops Tuskers)のキャプテン、ビム・バハドゥル・タマン(Bhim Bahadur Tamang)氏(62)は言う。同チームは2日に行われた今年の大会で優勝した。今年は英国、米国、オーストラリア、アイスランド、オランダ、スリランカなど10か国から選手が集まり、4人1組で8チームが参加した。

 ゾウでポロをするというアイデアが生まれたのはスイスのリゾート地。ネパールで初めてサファリツアー会社を起業した一人、A・V・ジム・エドワーズ(A.V. Jim Edwards)氏が、30年以上前に友人のポロ選手、ジェームズ・マンクラーク(James Manclark)氏と酒の席で思い付いたとされる。以来、エレファントポロのトーナメント戦はスリランカ、タイ、ネパールで行われてきた。

 エドワーズ氏が創業した旅行会社タイガー・トップス(Tiger Tops)が主催する毎年恒例の試合の招待客には著名人も多く、元ビートルズ(The Beatles)のリンゴ・スター(Ringo Starr)さんやコメディアンのビリー・コノリー(Billy Connolly)さんも名を連ねている。

 だが、主催者側はネパールで大規模な大会を行うのは今年で最後かもしれないと言う。タイガー・トップスの現代表でエドワーズ氏の息子のクリスチャン氏は、エレファントポロによってゾウの保護活動への関心が高まったが、来年は実施する予定はないとコメントしている。「ゾウの扱い方について、わが社は先頭を走ってきた。そして、私たちのゾウには、ゾウのままでいてほしいと思っている。エレファントポロではそれが難しいのです」(c)AFP