【11月8日 AFP】男子テニスの最新の世界ランキングが7日に発表され、アンディ・マレー(Andy Murray、英国)が男子テニス界の新たなキングになった。王座維持を目指すマレーは、ATPワールドツアー・ファイナル(ATP World Tour Finals 2016)でノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)の反撃を防ぐ道筋をすぐさま立てなければならない。

 6日にパリ・マスターズ(BNP Paribas Masters 2016)制覇を果たすと、今季最終戦が行われるロンドン(London)へ直行したマレーは、「(世界1位在位は)1週間だけになるかもしれない。だから私は挑戦し、この瞬間を楽しんだほうがいいと思っている。ツアー・ファイナルで敗れて、二度と1位になれないかもしれないのだから」と話し、29歳にして初めて世界ランキング1位に輝いた喜びを口にした。

 パリ(Paris)の決勝でジョン・イズナー(John Isner、米国)を6-3、6-7(4-7)、6-4で下し、4大会連続優勝(今季8勝目)を飾ったマレーは、最低でも2週間トップに君臨することになる。

 現在は2位と405ポイント差で首位に立っているが、パリ・マスターズで準々決勝敗退を喫するまで122週間にわたって世界1位に君臨してきたジョコビッチがもし最終戦で5連覇を達成すれば、王者の座を再び譲らなくてはならない。

 マレーは、「トップとして、どれだけポイントの貯蓄があるかについてはあまり考えていなかった。シーズンを1位で終えられれば素晴らしいが、ここまで何とかたどり着けてうれしい」と語った。

 最終戦の舞台では2013年にけがで出場を見送ると、最近2年間はラウンドロビン敗退を喫するなど、良い成績を残せていないマレーは、「ここ数年はタフだった。今回は、もちろん自分の一番良いテニスができるようにしたい。勝利は必要ではない。とにかく、ベストのプレーをして気分よくシーズンを終えたい。今は数日間休息を取って、来る10日間に向けて、もうひと踏ん張りする準備のために体を休める」と抱負を語った。

■「全豪制覇は大きな目標」

 ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)が最近14年間で初めてトップ10から陥落、ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)は今季を途中終了し、ジョコビッチも本調子とは言えない状況の中、マレーは来季へ向けて大きな期待を胸にしている。

「もちろん、全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2017)は勝ちたい。何度も優勝できる目前まで行ったけど、逃し続けてきたし、次の大きな目標ではある」

 しかしながらマレーは、状況は急激に変わりうるとして、あまり先を見すぎないようにしているという。

「チームと席について、来年初めのスケジュールについて検討し、3月くらいまでの目標を立てると思う。短期間の目標があるときのほうが、うまくいくとわかったからね。キャリアを通して、少ない時間のなかでも本当に多くのことが起こったり、変わったりする場面を何度も目にしてきた。ここ数か月間は、全仏オープン(French Open 2016)の後でさえ、誰も私が成し遂げるであろうものは想像していなかった。だから、これは私にとっても予期せぬ事態だった。期待していなかったよ」

 マレーのパリ・マスターズ優勝は、「ビッグ4」が2010年のモンテカルロ・マスターズ(Monte-Carlo Rolex Masters)以来、直近61回のマスターズ大会のうち、56個のタイトルを独占してきたことを意味する。

 同大会決勝で涙をのんだイズナーも、「彼は今、誰もが尊敬する男だ。世界の2、3、4位であろうと、みんな彼がどれだけ努力し、身をささげてきたか理解している」とコメントし、新王者をたたえていた。(c)AFP/Martyn WOOD