【11月4日 AFP】ウクライナのペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領が今週、キルギスの大統領と思い込んで電話会談した相手が赤の他人だったことが発覚し、ウクライナ政府が「挑発」として調査に乗り出す騒ぎになっている。「偽キルギス大統領」の正体は不明だが、ロシアメディアでは過去にも同様の成りすましをしたロシア人のいたずらとの見方が出ている。

 ウクライナ大統領府のウェブサイトには2日、ポロシェンコ大統領とキルギスのアルマズベク・アタムバエフ(Almazbek Atambayev)大統領が行ったとされた電話会談の詳細が掲載されたが、電話の相手がアタムバエフ大統領ではなかったことが判明したため、3日までに全て削除された。

 問題が発覚したのは、キルギス側からウクライナ側に別人との情報が伝えられたのがきっかけ。アタムバエフ大統領の報道官は3日、AFPの取材に対し「何者かがウクライナの指導者(ポロシェンコ大統領)をだました可能性がある」と述べた。

 キルギスの大統領府は成りすまし犯について臆測を避けたが、ロシアメディアはロシア人のプランクスター(いたずら仕掛け人)、アレクセイ・ストリャロフ(Alexei Stolyarov、通称レクサス、Lexus)氏の仕業ではないかとみている。ストリャロフ氏は過去にも似たようないたずらを仕掛けたことがあるという。

 とはいえ、現在のところ電話相手の正体は不明だ。

 赤っ恥をかかされた格好のウクライナは、ロシアによる2014年の一方的なクリミア(Crimea)半島編入を国連(UN)を通じて非難してきたウクライナの取り組みの妨害を狙った陰謀だと非難。ウクライナ外務省のマリアナ・ベスタ(Mariana Betsa)報道官はAFPに「挑発の企て」の疑いで捜査を進めていると明らかにした。

 ロシア当局者からのコメントは得られていない。(c)AFP