■巨大な足指骨

 だが、約1億500万年前にこの道が開けた時期があったことが、過去の研究で示されている。この間、南極地域で気温が十分に上昇したことで、南回りの道を通れるようになったのだ。

 ポロパット氏はAFPの取材に応じた電子メールで、2億5100万年前から6600万年前まで「南極大陸は、われわれの知る限り、常に氷が張りつめていたわけではない」と述べている。

 実際に、現在は厚さ約2キロの氷の層で覆われている南極大陸は当時、森林が密集していたことが化石記録で示されている。

 新種恐竜の学名Savannasaurus elliottorumは豪州の古生物学者で論文の共同執筆者でもあるデービッド・エリオット(David Elliot)氏の名前に由来している。同氏は、新発見の化石が収蔵される予定の博物館「Australian Age of Dinosaurs Museum of Natural History」(オーストラリア恐竜時代自然史博物館)の共同創立者でもある。

 エリオット氏は2005年、自宅近くでヒツジの群れを移動させている際に、地面から骨の断片が突き出ているのを偶然発見した。同氏の自宅のそばにある「ウィントン(Winton)層」では、これまでに多数の化石が発見されている。

 エリオット氏は、声明の中で「私は、それが肉食の獣脚類恐竜かもしれないと期待していた」と回想している。

 だが、それは何か別のものであることに、エリオット氏はすぐに気が付いた。同じく科学者である妻のジュディス(Judith Elliot)さんが骨のかけら2個をカチッとかみ合わせた手の中に、草食性竜脚類の足の指の完全な形の骨があったからだ。

 そこから研究チームは、岩石に埋もれたトラック1台分の化石から硬いシルト岩を慎重に除去する10年に及ぶ作業を経て、豪州でこれまでに発見された中で最も完全な形の竜脚類骨格の一つを公表するに至った。(c)AFP/Marlowe HOOD