【10月5日 AFP】欧州を目指してリビア沖の地中海(Mediterranean)を航行していた木造船内で4日、移民少なくとも22人が死亡しているのが見つかった。船内は過密状態で犠牲者の大半は窒息死だった。現場を取材したAFPのカメラマンが伝えた。

 船内取材を許されたアリス・メシニス(Aris Messinis)カメラマンは「木造の船で3フロアに合計でおよそ1000人が乗っていた。自分で遺体を数えたところ22人に上った。さらに船倉内にも遺体があった」と電話で語った。

 メシニスカメラマンは、海難に見舞われた移民の救助活動を行っているスペインのNGO「プロアクティバ・オープン・アームズ(Proactiva Open Arms)」がチャーターした船「アストラル(Astral)号」に乗り込んでいた。

 同カメラマンによると、アストラル号の救助隊員らは生存者の手当てと遺体の収容をイタリア海軍に引き継いだという。

 リビア沖では3日に移民6000人余りが救助されていた。これらの移民を送り届けるため、多数の救助船がイタリアへ向かう中、アストラル号だけが数時間にわたってその場にとどまり、超満員の木造船の対応を任された。

 イタリア海軍が同日正午ごろに到着するまでは、スペイン軍機が投げ落とした救命ボートだけが頼りだった。メシニスカメラマンは「船内はパニック状態だった。人々は海へ飛び込んでいた」と証言した。4日未明に始まったアストラル号の救出活動は、夕方まで続いたという。

 リビア北方の国際水域における救助活動の調整に当たっているイタリア沿岸警備隊は先に、リビア沖で4日に移民少なくとも1800人が救助されたと発表している。(c)AFP