■歴史の証人

 控えめなスカリー氏は自身のキャリアについて、この職業のおかげで野球の歴史を目撃する一人になれたとしており、「ノーヒッターは20試合以上、完全試合やワールドシリーズは数え切れないほど経験している。神のおかげで私は目撃者になれると同時に、こうした歴史的瞬間の実況することができている。しかし、すべて自分が成し遂げたことではない。私はその場に居合わせただけだ」と語っている。

 スカリー氏の謙虚さは、別れを先延ばしにしないことにも表れている。ポストシーズンは先がどうなるか不明であり、「15分間に25回も別れを告げるグランドオペラみたいに、さよならすることは」避けたいとするスカリー氏は、「サンフランシスコ(San Francisco)で荷物にリボンを結ぶ。それで終わりだ」とコメントした。

 引退したら放送が恋しくなると認める一方で、スカリー氏は数十年にわたりたくさんの人々の生活の一部を担ったことに慰められている。

「みんなが私に『あなたの声を聴くと、裏庭で両親と楽しんだバーベキューを思い出します。父とガレージでペンキ塗りをしていた時も、あなたのラジオで野球中継を聴いていました』と言うだろう。違う世代の橋渡しになれることは、とてもうれしい。本当にそう思っているから、これからもそう言い続けるよ。神のおかげで、私は若い頃からこの仕事に携われ、子ども時代の夢に出会えた。そして67年間もその一瞬一瞬を楽しむことができて、自分にとってとても大きな感謝祭のようだった。だから、そう。本当に大好きな仕事だったよ」

(c)AFP/Rob Woollard