【9月20日AFP】サッカー元イングランド代表のポール・ガスコイン(Paul Gascoigne)氏は19日、自身のラジオ番組で黒人の警備員に対して人種差別発言を行ったとして、裁判所から1000ポンド(約13万円)の罰金と、同額の慰謝料を支払うよう命じられた。

 現在49歳のガスコイン氏は、昨年11月30日に英西部ウェストミッドランド(West Midlands)のウォルバーハンプトン(Wolverhampton)近郊でラジオ番組に出演していた際、自身を警護していたエロール・ロウ(Errol Rowe)氏に「笑ってくれ、顔が見えないから」と発言したことについて、ダドリー治安判事裁判所(Dudley Magistrates Court)から侮辱行為とみなされた。

 すでに現役を退いているガスコイン氏に処分を科した判事は、「ロウ氏の肌の色を利用して、1000人以上の聴衆から笑いを取ろうとした」と断罪している。

 ガスコイン氏は当初、裁判で異議を唱えるとみられていたものの、最初の目撃者が19日に証拠の提出を求められる前に有罪を認めた。これを受けて判事は、1990年W杯イタリア大会でイングランドをベスト4に導いたガスコイン氏が、断固抗議すべき「陰湿的な人種差別」を認めたと裁定した。

 ガスコイン氏は同世代のイングランド代表で最も才能豊かな選手の一人として知られ、現役時代はニューカッスル(Newcastle United)をはじめ、トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)、イタリア・セリエAのラツィオ(SS Lazio)、スコットランドのグラスゴー・レンジャーズ(Glasgow Rangers)でプレーしていた。

 その一方で、引退後はアルコール依存症や精神疾患によるトラブルを繰り返して世間を騒がせている。しかしながら、裁判所に入る前にはファンサービスに応じるなど、元気な様子をみせていた。(c)AFP