【9月7日 AFP】男子テニスのガエル・モンフィス(Gael Monfils、フランス)は、勝負に徹することで全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2016)の準決勝に進出した。しかし、派手なプレーで観衆を魅了してきたモンフィスは、魅せるプレーを意図的に封印しているのではないかという意見を一蹴している。

 実際、モンフィスはこれまで一度も自分のことを「人々を楽しませる」選手だと思ったことはなく、ポイントを獲得するためには手段を選ばないタイプだとしている。管理された最近の安定したプレーの理由について、報道陣から質問されたモンフィスは、「君たちがそんなイメージを作り上げているんだ」と反論した。

「トリックショットをたった1本でも成功すれば、みんなが僕のことを目立ちたがり屋と騒ぎ立てる。僕がそう思われるように仕向けたのは君たちだ」

 ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2016)以降、全米オープンの前哨戦に位置付けられたシティ・オープン(Citi Open 2016)で優勝するなど、モンフィスは夏のハードコードシーズンで19勝2敗の成績を残している。6日に行われた準々決勝では、リュカ・プイユ(Lucas Pouille)とのフランス勢対決を制し、準決勝進出を果たした。

 モンフィスの主張は正しいのかもしれない。しかし、トップジュニア選手として活躍していたころから、ポイントを諦めたしぐさをみせながら突然ボールを追いかけたり、スライドフットワークを使い、上体を目いっぱい屈伸させながら、一見不可能に見えるようなショットを放ったりするエンターテインメント性の高いテニスを披露してきた。

 今月1日に30歳の誕生日を迎えたモンフィスは、度重なるけがを理由に、より保守的な指導をするコーチを迎えたのではないかという推測も否定しており、「笑ってしまうよ。正直に言えば、今日の試合でも1回転しながらスマッシュを打つ機会があれば絶対にやった。ただ、そういうボールは来なかった」と語った。

 コート上でのアクロバチックな動きも、決してファンのためではないと話すモンフィスは、「他人のためにわざわざけがをしに行くと思う?飛び込むのは、そのポイントを取りたいからだ」と主張した。

 モンフィスによると、負担の大きい離れ業にも体が耐えられた要因は、日々のトレーニングのおかげだとしているが、これまでも常に故障に悩まされてきた。右膝や右肩、左手首など度重なるけがを理由に、2007年から現在までに合計9回も四大大会(グランドスラム)を欠場している。

「キャリアを通して、体の状態が常に大きな問題になってきた。今はどうにか安定している。これまでとは違った方法で練習したり、今までの自分とは違うことが理解できたりしている。そうしたことが、自分を強くすることを大きく手助けしていると思う」

(c)AFP/Rebecca BRYAN