【9月2日 AFP】南アフリカの元大統領、故ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)氏の最初のテレビ・インタビューとみられる映像が、研究者らによって発見された。同氏の記念財団が1日、発表した。

 マンデラ氏が反逆罪に問われ、4年半に及ぶ裁判が行われていた1950年代末に撮影されたこの24秒間のテレビ映像には、ネクタイとスーツを着用し、あごひげを生やした若い同氏の姿が映っている。

 映像の中でマンデラ氏は、同氏の公判が開かれていた、南アの首都プレトリア(Pretoria)にあるユダヤ教会堂の外に立ち、アパルトヘイト人種隔離政策に対する最終的な勝利を得るために同氏が率いていたアフリカ民族会議(ANC)の目標について説明している。

 マンデラ氏は、その特徴的な落ち着いた声で「ANCは当初から、白人優越主義と闘うという任務を自らに課している」と話した。「一つの人種集団が別の人種集団を支配することは間違った行為だと、われわれは常にみなしてきた」

「ANCはこれまで、あらゆる種類の人種差別に対して、臆することなく闘ってきた。われわれは、自由を獲得する日まで、この闘いを続けるつもりだ」

 マンデラ氏のテレビ・インタビューに関してはこれまで、英民放ITNが1961年5月に実施したのが最初と考えられていた。この有名なインタビュー映像には、反逆罪の裁判で無罪判決を受けた直後の、潜伏中の反アパルトヘイト活動家だったマンデラ氏の姿が収められていた。

 だが、今回新たに発見された映像は、その数か月前の1961年1月に、南アフリカの人種隔離政策に関するオランダのテレビ番組の中で放送されたものだ。撮影当時、マンデラ氏は40歳前後だったと思われる。この白黒映像が収録された正確な日時は不明だ。

 ネルソン・マンデラ財団(Nelson Mandela Foundation)の最高責任者、セロ・ハタン(Sello Hatang)氏は「ネルソン・マンデラ氏の初のテレビ・インタビューとみられるこのような歴史的資料を手にして、われわれは心を躍らせている」と話している。

 潜伏生活を送ったマンデラ氏は1962年に捕らえられ、破壊活動の罪に問われて27年間収監された。1990年に釈放され、南アフリカ初の複数政党制による選挙を経て1994年に大統領に就任した。マンデラ氏は2013年に95歳で死去した。(c)AFP