【9月1日 AFP】アフリカのゾウに関する3年間の航空調査の結果、サバンナに生息するゾウの数が30%減少したことが分かったとする報告が1日、米ハワイ(Hawaii)州で開催された国際自然保護連合(IUCN)の会合で発表された。主な理由は密猟だという。

 「大規模ゾウ生息数調査(Great Elephant Census)」と名付けられた今回の調査は、2013年12月から3年間実施された。ゾウの生息数や保護方法に関する今後の研究用データベース作りのため、科学者や慈善保護活動家らが航空機に乗って、アフリカ18か国の上空から生きているゾウとゾウの死がいの数を計測した。

 野生動物に関する調査ではこれまでに類を見ない方法で、実施規模も過去最大。航空機81機と乗組員286人が動員され、総飛行距離は46万3000キロに及んだ。

 調査で確認されたゾウは計35万2271頭で、2007~2014年の間に約14万4000頭が減ったことが明らかになった。これは30%減少に相当する。また最近のサバンナのゾウの生息数は年間8%の割合で減少しているという。

 密猟が多発している国々には、アンゴラやモザンビーク、タンザニアなどが含まれ、これらの国々では生息数が激減していることが明らかになった。

 その一方で、南アフリカやボツワナ、ウガンダ、ケニアの一部、ザンビア、ジンバブエ、マラウイなどでは生息数が安定しており、逆に増加している国もあった。

 この調査には米マイクロソフト(Microsoft)の共同創業者で、現在は投資会社バルカン(Vulcan)を率いるポール・アレン(Paul Allen)氏が、700万ドル(約7億円)を出資。富豪で慈善活動家でもあるアレン氏は「大規模な調査は成功に終わった。そこで判明したことは、非常に憂慮すべき事態だ」と語った。

 なお、内戦状態の中央アフリカと南スーダンの調査は接近が難しいため、今回は実施されていない。(c)AFP