【8月23日 AFP】エチオピア政府が、リオデジャネイロ五輪陸上男子マラソンで銀メダルを獲得した同国代表のフェイサ・リレサ(Feyisa Lilesa)は、帰国に際して何も恐れることはないと明言した。国営ラジオ局が22日、報じた。

 リレサは21日に行われたレースでゴールインする際、頭上で腕を交差させ、エチオピア政府が異議を唱える人々を弾圧していることに対して抗議の意思を表していた。

 表彰式でも同様のポーズを取ったリレサは、エチオピア最大民族の一つであるオロモ族に対する政府の扱いに抗議したことで、帰国することが怖いと話していた。

 エチオピア政府の広報官は国営ラジオ局に対し、「リレサには彼の政治的な立場によって問題が生じることはない」と述べた上で、「五輪で政治的立場を表現すべきではないが、他の五輪選手団とともにリレサの帰国を歓迎する」と語った。

 人権団体によれば、エチオピアでは2つの主要地域、中西部のオロミア(Oromia)と北部のアムハラ(Amhara)で相次いで発生した反政府デモを当局が弾圧し、この数週間で治安部隊によって多数の市民が殺害される事態に発展している。

 リレサは21日に行われたレース後、「祖国では刑務所に入れられている身内がいる」と語っていた。

「民主主義について話をすると殺される。エチオピアに帰ったら私も殺されるか、投獄されるかもしれない」

「私の国は危険だ。別の国へ行かなければならないかもしれない。どこであれ、自由がない人々のために抗議した」

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