【8月19日 AFP】五輪で陸上女子棒高跳びの金メダルを2度獲得しながらも、ロシアのドーピング問題でリオデジャネイロ五輪への参加を禁じられたエレーナ・イシンバエワ(Yelena Isinbayeva)が18日、国際オリンピック委員会(IOC)の選手委員に選出された。

 34歳のイシンバエワは、ロシアが国家ぐるみでドーピングに関与していたとのスキャンダルをめぐり、国際陸上連盟(IAAF)が露陸上選手全体に科した出場停止処分を受け、リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で金メダルに挑戦する機会を失っていた。

 イシンバエワは選手委員選挙での公約として、IOCと選手らとの「懸け橋」になりたいと話していた。

 だが一方で、リオ五輪への出場を禁じられたことへの怒りも表明。露国営タス通信(TASS)は、イシンバエワが選挙のためリオ入りした際、記者団に対して「もちろん、競技のためにここに来られなかったことに憤りを感じていますが、それでも来る必要がありました」と語ったと伝えている。

「私に禁止処分を科したことは、今後も決して同意できないし、許せません。優勝する選手に何と伝えたいかって?『あなたは自動的に2位になる』です」

 ロシアのスポーツ機関は、イシンバエワの当選は、同国にとっての道徳的勝利だと強調。ロシア・オリンピック委員会(ROC)のアレクサンドル・ジューコフ(Alexander Zhukov)会長は、ロシア通信(RIA)に対して「彼女が当選したものの五輪に出場しないという事実は、とても象徴的だ。スポーツ界のあらゆる不公平さに対する返答だ」と述べた。

 選手委員の任期は8年で、18日の選挙ではイシンバエワのほかに独フェンシング選手のブリッタ・ハイデマン(Britta Heidemann)、韓国の元卓球選手の柳承敏(ユ・スンミン、Ryu Seug-min)氏、ハンガリーの競泳選手ダニエル・ギュルタ(Daniel Gyurta)の3人が選出された。(c)AFP