■「薬物違反者」と批判受けた孫楊が金

 一方、同じくドーピング違反の過去があり他国の競泳選手から批判を浴びていた中国の孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ、中国)は、この日男子200メートル自由形決勝で金メダルを獲得して騒動を振り払い、エフィモワとは対照的に喜びに包まれた。

 6日に行われた男子400メートル自由形では、金メダルを獲得したオーストラリアのマック・ホートン(Mack Horton)が、2014年の検査で禁止薬物で陽性となり3か月の出場停止処分を科されていた孫を「薬物違反者」だと批判する騒ぎが起きていた。

 この日、観客席では中国選手団と応援団がスタート台に上った孫に声援を送っていたが、その一団の前にはオーストラリアの応援団が座っていた。

 150メートルのターンで3位につけていた孫は、序盤からリードしていた南アフリカのチャド・レクロー(Chad Le Clos)を勢いよく抜き去り、1分44秒65で勝利を手にした。レクローは1分45秒20で銀メダル、米国のコナー・ドワイヤー(Conor Dwyer)が1分45秒23で銅メダルを獲得した。

 孫は「外野の騒ぎに惑わされないようにしていた」とすると、「とにかく自分を見失わないようにしていた。400メートルの時よりリラックスしていたのが金メダルにつながった」とコメントした。

 女子100メートル背泳ぎ決勝では、「鉄の女」ことカティンカ・ホッスー(Katinka Hosszu、ハンガリー)が今大会2個目の金メダルを獲得した。オーストラリアのエミリー・シーボーン(Emily Seebohm)がトップに立っていた50メートルの折り返しでは6位につけていたホッスーだったが、そこから猛スピードをみせて58秒45で勝利を収めた。

 米国のキャスリーン・ベイカー(Kathleen Baker)が58秒75で銀メダルを獲得し、中国の傅園慧(Yuanhui Fu、フ・エンケイ)とカナダのカイリー・マス(Kylie Masse)が58秒76で銅メダルを分け合う一方で、2012年のロンドン五輪で同種目銀メダリストのシーボーンは、失速して59秒19の7位に終わっている。

 男子100メートル背泳ぎ決勝では、米国のライアン・マーフィー(Ryan Murphy)が50メートルターンの4位から逆転し、大会新記録の51秒97で優勝。五輪の同種目で圧倒的な強さをみせる米国勢の連勝を6に伸ばした。

 2位には52秒31で中国の徐嘉余(Jiyau Xu)、3位には52秒40で米国のデヴィッド・プラマー(David Plummer)が入った。(c)AFP/Rebecca BRYAN