【7月30日 AFP】国際ウエイトリフティング連盟(IWF)は29日、リオデジャネイロ五輪のロシア代表に選ばれていた重量挙げ選手8人全員に対し、出場禁止処分を科すと発表。ドーピング問題に揺れるスポーツ大国のロシアは、また新たな打撃を受けることになった。

 IWFは声明で「重量挙げの高潔性は、ロシアによって何度も深刻なダメージと破壊を受けている。したがって、このスポーツの立場を守るために適切な制裁を科すことにした」と述べた。

 ロシア・オリンピック委員会(ROC)が選出した代表選手は当初387人だったが、これでリオ五輪に出場できなくなったのは、陸上競技の67人を含めて現在まで合計117人に上っている。

 重量挙げの代表に選ばれていたのは、男子では2012年のロンドン五輪で銅メダルを獲得したルスラン・アルベゴフ(Ruslan Albegov)をはじめ、昨年の世界選手権(2015 IWF World Championships)を制したアルテム・オクロフ(Artem Okulov)ら5人、女子ではロンドン五輪銀メダリストのタチアナ・カシリナ(Tatiana Kashirina)とアナスタシア・ロマノワ(Anastasia Romanova)ら3人となっていた。

 IWFはまた、カシリナとロマノワについては過去にドーピング違反があり、すでにROCから代表を外されていたと補足。ロシアによる国家ぐるみのドーピングを暴いた世界反ドーピング機関(WADA)の独立調査官リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏の報告書では、ほかに4人の名前が挙がっていた。

 WADAの報告書に注目が集まるなか、国際オリンピック委員会(IOC)は、来月5日に開幕するリオ五輪からロシアを全面的に排除すべきとする重圧をはねのけ、クリーンな選手の出場の可否については各競技の国際連盟に委ねる決断を下した。

 IWFは「この異例の事態に際し、五輪競技の信頼性を守るため、ロシアでは夏季スポーツの28競技で連帯責任が問われており、同国選手に対して『推定無罪』は適用されない」と説明しながらも、「その一方で、すべての人間に権利が与えられている自然的正義と個人的正義の原則が適用されるべきである。つまり処分を受けた各選手は、連帯責任の適用について個別に反論する機会が提供されるべきである」との見解を示した。

「ロシアの重量挙げに関しては、極めて衝撃的であり、残念な状況である」と強調したIWFはまた、再検査された2008年の北京五輪と2012年のロンドン五輪の検体のうち、7件が陽性反応を示したことを明かした。

 マクラーレン報告書では、ロシアによる国家ぐるみのドーピングプログラムの中枢であるモスクワ(Moscow)の分析機関が、陽性反応を示していた重量挙げ選手117人の検査結果を4年間にわたり隠ぺいしていたことが発覚。これは陸上選手の次に多い数字となっている。(c)AFP