【7月17日 AFP】15日にトルコで発生したクーデターが阻止され、トルコ軍の8人がヘリコプターでギリシャに逃亡した問題で、兵士らの弁護士は16日、兵士たちはクーデターに関わっていないと述べた。しかし、ギリシャ政府報道官は異なる説明をしている。

 トルコ軍ヘリコプターに乗った8人の兵士は16日、遭難信号を発信した後、ギリシャ北部のアレクサンドルポリス(Alexandroupolis)に到着した。8人はすでにギリシャで亡命申請を行った。ERTテレビによると、8人のうち7人はトルコ軍の制服を着用していたという。

 ギリシャの弁護士イリア・マリナキ(Ilia Marinaki)氏によると、「兵士らはイスタンブール(Istanbul)にいて負傷者の搬送を命じられた。何が起こっているのかはっきりとは知らなかった」「16日朝になって警官が発砲し始めたため、国外に逃亡することを決心した」と記者陣に語った。

 マリナキ氏は兵士8人全員が40代の既婚者で「自分たちと家族の身の安全を恐れ、精神的苦痛状態にある」と話した。アテネ通信(ANA)は、8人のうち3人は少佐、3人が大尉、2人が上級曹長だと伝えた。

 トルコのメブリュト・チャブシオール(Mevlut Cavusoglu)外相はトルコのハベルチュルク(Haberturk)テレビに対し、同国のレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領政権に不満を持つ軍内部の勢力が起こし、250人以上が死亡した前夜のクーデター未遂の後にギリシャに渡った兵士8人について、「8人の反逆者の身柄を一刻も早く引き渡すよう、トルコ政府としてギリシャ政府に要請した」と述べた。

 AFPのカメラマンによると、アレクサンドルポリス空港の前ではギリシャでは少数派のイスラム教徒が300~400人集まり「裏切り者」を追放するよう要求した。

 ギリシャ参謀本部の関係者は「ヘリコプターは即時トルコに引き渡される予定だ」と述べた。しかしギリシャ政府報道官は「亡命申請者に関しては、国際法に従って手続きが行われる」と発表した。

 同報道官は「トルコ政府とは常に連絡を取り合っている」とした上で、「亡命申請者が、トルコ憲法に違反してクーデターに参加したことは考慮する」と述べた。8人は17日にギリシャの検察に出頭する予定。

 ギリシャのアレクシス・チプラス(Alexis Tsipras)首相は16日、「民主的に選出された」トルコ政府を支持すると述べた。またニコス・コジアス(Nikos Kotzias)外相は、ヘリコプターがギリシャに着陸する前にトルコのチャブシオール外相と電話会談し、ギリシャ政府は「民主主義と憲法秩序を守るトルコ国民の闘い」を支持すると約束していた。(c)AFP