【6月17日 AFP】ドイツ最大のユダヤ人団体「ユダヤ人中央評議会(Central Council of Jews)」は16日、ナチス・ドイツ(Nazi)幹部らの遺品のオークションが今週末に行われることについて、「汚らわしい」計画だと非難し、中止を求めた。

 オークションは18日に、競売会社ヘルマン・ヒストリカ(Hermann Historica)が南部ミュンヘン(Munich)で実施する予定。ナチスの秘密国家警察ゲシュタポ(Gestapo)の創始者で空軍総司令官だったヘルマン・ゲーリング(Hermann Goering)国家元帥の絹の下着やレントゲン写真、1946年にニュルンベルク(Nuremberg)で処刑される2時間前にシアン化水素で服毒自殺した際に使った真ちゅうの容器などが出品される。

 また、総統アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)の健康診断書や、銃を入れられるよう革で裏打ちされた黒いズボンも競売に掛けられるという。

 これらの品々は、第2次世界大戦(World War II)後に連合国がナチス戦犯を裁いたニュルンベルク裁判(Nuremberg Trials)で、被告らの健康状態の監視に当たった米軍の故ジョン・K・ラティマー(John K. Lattimer)軍医が所有していた。

 この競売について、ユダヤ人中央評議会のヨゼフ・シュスター(Josef Schuster)会長は、「ヒトラーやゲーリング、エバ・ブラウン(Eva Braun)の遺品で見境なく商売しようとする」のは「恥ずべきで、汚らわしい」考えだと批判。「こうした遺品は博物館や記録保管所に収蔵するのがふさわしく、金もうけのために売るべきではない」と独DPA通信に述べ、ヘルマン・ヒストリカに競売中止を訴えた。

 ドイツではナチスに関連する品々やスローガン、シンボルを公の場で展示したり流通させたりすることは法律で禁止されているが、研究者や収集家らがナチス関連の品々を購入・所有することは禁じられていない。(c)AFP