【6月16日 AFP】インド西部グジャラート(Gujarat)州で住民が野生のライオンに襲われる被害が相次ぎ、今年3月以降に3人が死亡している。当局は15日、捕獲したライオンの一頭のふんから人間の毛髪など見つかったことから、襲撃したライオンを特定できた可能性があると明らかにした。

 被害が出ているのは州内にあるギル野生生物保護区(Gir National Park and Sanctuary)近隣の複数の村。3月以降、死者以外に4人が重傷を負っている。

 森林管理当局者がAFPに語ったところによると、絶滅危惧種でグジャラート州の森林にしか生息しないインドライオン(アジアライオン)17頭を過去1か月に捕獲。うち少なくとも1頭から人間の毛髪や体組織の残存物が見つかった。

 ライオンが村人を襲った理由について野生動物の専門家は、村の人口が増えたために獲物を求めるライオンの移動ルートを人間が妨げているのではないかとの見方を示している。

 インドライオンはアフリカライオンよりもやや小さく、下腹部の皮膚がひだ状にたるんでいるのが特徴。ギル野生生物保護区では個体数が増加しており、最新の調査記録によれば523頭が生息する。2000年に「深刻な絶滅の危機」にさらされている種に指定された後、個体数の回復を受けて2008年に通常の絶滅危惧種に変更されている。(c)AFP