【6月17日 AFP】英王室が主催する伝統の競馬レース「ロイヤルアスコット(Royal Ascot)」から上流階級の結婚式まで、「斬新さや奇抜さ」を楽しんでいると語る英国の帽子職人、エイドリアン・フィリップ・ハワード(Adrian Phillip Howard)さんにとって、夏は一年のうちで一番忙しい時期だ。

 ハワードさんは王室御用達の高級老舗デパート「フォートナム・アンド・メイソン(Fortnum and Mason)」の帽子職人で、髪をサイドに流し、明るい色のスーツをおしゃれに着こなす40代。王室の仕事を受けたこともあり、趣味として始めた仕事への情熱で満ちあふれている。

「夏は書き入れ時です。アスコットやダービーなどのレースがすべて重なる競馬シーズンですから」とハワードさんはAFPの取材に答え、「アスコットのお祭り騒ぎは私のお気に入りです。帽子が少しだけ斬新で奇抜ですからね」と付け加えた。

 しかし、ハワードさんの顧客の夫の中にはあまり帽子に関心のない人もいる。「見覚えのない紳士が私のところにやって来てこんなことを言いました。『あなたの帽子を保管するために、私の部屋からゴルフクラブを一本残らず片付けざるを得なくなってしまった』と」

 オードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)のような往年のハリウッド(Hollywood)スターにインスピレーションを受けながら、1日から2週間かけて製作されるハワードさんの帽子は決して安くはない。価格は300ポンド(約4万5000円)からとなっているが、顧客による特注の仕様次第では、それよりもずっと高くつくこともある。(c)AFP/Juliette RABAT