【5月31日 AFP】エジプトの民間病院で10代の少女が女性器の切除手術中に死亡していたことが30日分かった。当局者らが明らかにした。エジプトで女性器切除(FGM)は違法とされており、検察が捜査を行っている。

 死亡したのはマヤル・モハメド・ムーサ(Mayar Mohamed Mousa)さん(17)。スエズ(Suez)県にあるエルカナル(El Canal)病院で29日、全身麻酔で手術を受けている間に亡くなった。

 エジプトでFGMは2008年に禁止されたが、今でも地方部を中心に根強く残る。イスラム教徒のほか、国内で少数派であるキリスト教徒の間でも行われている。スエズ県の保健当局幹部は、こうした手術は法律で禁止されていると強調した。

 とはいえ、同日にはムーサさんの手術前に姉妹の一人も同様の手術を受けていた。しかも姉妹の母親は看護師で、亡くなった父親は外科医だったという。ムーサさんの手術は有資格の女性医師が担当したとされる。

 当局は30日、エルカナル病院の患者を別の複数の病院に移した上で、同病院を閉鎖した。検察は病院の管理者や手術に関わった医師らを取り調べるとともに、ムーサさんの母親から事情を聴いている。遺体の検視も行ったといい、今後死因について発表する予定だ。

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)が今年2月にまとめた報告書は、FGMを受けた成人女性と少女は世界で2億人に上るものの、エジプトやリベリア、ブルキナファソ、ケニアでは大きな前進がみられると指摘していた。

 国連開発計画(UNDP)も昨年の報告書で、エジプトのFGMをめぐる状況について「最新統計からはわれわれが勝利を収めつつあることが分かる」と述べ、「母親たちの意識も変わってきている」と言及していた。

 UNDPの報告書によれば、エジプトでは母親の92%がFGMを受けているが、そのうち自分の娘にもFGMを施したいと考えている割合は35%程度だという。

 FGMを受けた女性は、排尿時の出血や痛み、性交中の激しい不快感、出産時の合併症、深い心の傷など、さまざまな後遺症と闘うことになる。(c)AFP