【4月19日 AFP】欧州評議会(Council of Europe)人権委員のニルス・ムイズニクス(Nils Muiznieks)氏は18日に公表した年次報告書の中で、欧州はテロリズムよりも移民の流入を恐れていると指摘した。

 ムイズニクス氏は、欧州大陸にとって2015年は「恐怖と不安の年」だったと表現。「こうした雰囲気の中で、各国政府は人権に関わる義務をないがしろにする傾向にあり、世論も時にこの傾向を後押ししている」として、欧州評議会の加盟47か国に警告を発した。

 特に昨年1月の仏週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社襲撃事件と、同11月に130人が殺害されたパリ連続襲撃事件というパリ(Paris)で起きた2つのテロ攻撃が、世論の風潮に影響を与えたとの見方を示した。

 だが「テロリズムの恐怖よりもいっそう広く不安が高まったのは、絶え間ない移民の流入だった」と指摘。移民流入は「多面的な恐怖」であり、多くの欧州諸国に影響を及ぼしたとの見解を示した。

 移民流入については「各国政府や欧州全体が国境管理で無力であることを示したとの見方もあれば、多様性に関する欧州の対処能力に疑問が呈され、すでに広がっていた反イスラム的な偏見があおられたという捉え方もある」とも言及した。(c)AFP