「パナマ文書」によると、英国は領内にあるモサック・フォンセカの仲介企業数で世界第3位を占め、3万2682人の顧問を有する。ペーパーカンパニーの設立自体は違法ではないが、犯罪に絡んだ資金洗浄や資産隠しといった不正行為に利用されることがある。

 英国の不動産にはタックスヘイブンの企業およそ31万社が計1700億ポンド(約26兆円)を投資しており、このうち10%がモサック・フォンセカと関連があった。

 ロンドンでは、ロシアの新興財閥が所有するマンションの外に飾られた豪華な彫像や、高級車ランボルギーニ(Lamborghini)で繁華街ナイツブリッジ(Knightsbridge)をわが物顔に疾走する中東の王族など、海外資金の流入をはっきり示す事例に事欠かない。これには、審査が厳しくない金融の都としての合理的な魅力に加え、富に対する自由放任主義、活気に満ちた国際取引の文化と歴史が密接に関与しているとシャクソン氏は言う。

「大英帝国が崩壊したとき、ロンドンは帝国の中枢からオフショア金融拠点に看板をかけ替え、自由なカネの流入を許した」と、シティ大学ロンドン(City University London)のリチャード・マーフィ(Richard Murphy)教授は語る。「どうやらシティーは、こうした『暗渠(あんきょ)』なしには必要な競争力を維持できないと信じているようだ」

 シャクソン氏はこうした現状について「金融機関は、まるで野獣と化してしまった」と述べた。(c)AFP/James PHEBY