【3月30日 AFP】世界保健機関(WHO)は29日、西アフリカのエボラ出血熱の流行は国際的な緊急事態ではなくなったと発表し、現時点でみられる孤立したケースも封じ込めることができるとの見解を示した。

 WHOのマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長は記者団に、「西アフリカのエボラ熱流行は、もはや国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態ではなくなった」と述べ、2014年8月に宣言された緊急事態の解除を正式に発表した。

 2013年12月に初めて感染が確認された直近のエボラ出血熱の流行では、主にギニア、リベリア、シエラレオネで1万1300人以上が死亡。死者の数は過去最多となった。

 ただ、チャン事務局長は、これら3か国でのエボラ熱再発の恐れもあるとしながら、ギニアで5人が死亡した進行中の群発的なケースにも言及した。

 記者団に対し、「国際的に拡散するリスクは低くなった。各国は当面、新たなウイルスの出現に対し迅速に対応できるようになっている」と述べたチャン事務局長だが、その一方で、西アフリカ地域の「生態系」にはまだウイルスが残っていると警告し、新たな発症への迅速な対応を含め、警戒が決定的に重要であることを強調した。

 同事務局長は今後について、エボラワクチンの早期開発と、遠隔・農村地帯で簡単に使用できる検査キットなど、診断検査の改善へさらなる努力を呼びかけた。また、西アフリカ諸国を含む、エボラ熱流行に最も弱い国への財政支援が必要とも指摘している。(c)AFP