【3月29日 AFP】ボクシングの英国ミドル級タイトルマッチで、ニック・ブラックウェル(Nick Blackwell、英国)をノックアウトして、昏睡状態に陥らせたクリス・ユーバンク・ジュニア(Chris Eubank Jr、英国)に対し、その父親であり元世界ミドル級王者であるクリス・ユーバンク(Chris Eubank)氏が、事前に頭部への強打をやめるように警告していたことが分かった。

 26日に英ロンドン(London)で行われた試合では、腫れで左目がふさがりかけていた王者ブラックウェルにドクターストップがかかり、レフェリーが第10ラウンドで試合を止めて、ユーバンク・ジュニアのタイトル奪取が決まった。

 ユーバンク氏が息子に警告したのは、1991年のWBOスーパーミドル級タイトルマッチで、自身がたたきのめした当時の対戦相手、マイケル・ワトソン(Michael Watson、英国)が生命の危機に陥り、大手術を受けることになった苦い経験からだった。

 ワトソン氏は、28日付の英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)に対して、「昔の記憶が何度もよみがえった」とコメントを寄せた。

「クリスとニックのファイトは激闘だった。ニックが負傷し、試合後の容体を聞いて、とても悲しく思う。それが分かったときは、まさに既視感を覚えた」

「病院で治療を受けているニックとご家族に、愛と祈りをささげる」

 試合を中継したチャンネル・ファイブ(Channel Five)の映像では、第8ラウンドの終盤にユーバンク氏が息子に対して、「もし、レフェリーが止めなければ、何というか、これだけは言っておく。ストップがかからずに、このまま相手をたたきのめし続ければ、必ずけがをさせてしまう。レフェリーが試合を止めないのであれば、私にはその判断を理解できないが、お前はレフェリーに任せておいてはいけない」と話している姿が映されていた。

「これからは相手の顔ではなく、ボディーを狙っていけ」