【3月23日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)で活躍し、バスケットボール殿堂(Basketball Hall of Fame)にも入っている名選手ディケンベ・ムトンボ(Dikembe Mutombo)氏が、22日にベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)で計35人前後が死亡した連続爆発事件に遭遇したことを明かし、人々がパニック状態に陥っていたと当時の状況を伝えた。

 NBAで18年間プレーし、2009年に引退した49歳のムトンボ氏は、ブリュッセル国際空港(Brussels Airport)で飛行機を乗り継ぐため、チェックインを済ませていたところ、2度の爆発が起きたという。

 故郷のコンゴ民主共和国で、自身が建てた病院を訪問し、首都キンシャサ(Kinshasa)から帰路についていたムトンボ氏は、米CNNテレビに対し、爆発が起きたときはラウンジで眠っていたものの、突然「周りの人が叫び、走り始めた」ことを明かしている。

「昼寝をしていたから、何が起こっているんだ?という感じだった。冗談かと思った。そうしたらある女性が、『みなさん外に出て、早く。行かなきゃダメなの。下の階では血まみれの人が大勢いる。大勢のけが人がいるの』と言ったんだよ」

「そこからは迷っている時間もなかった。自分の荷物を持って、みんなと同じように走り始めたのさ」

 しゃがれ声で恐怖体験を語ったムトンボ氏は、連続爆発事件に遭遇したことを受け止めきれず、ショックのあまり立ちすくんでしまう人々もいたと話している。

「愛する人を失った遺族の方々は、さぞかしつらいだろう。みんな走ることも、動くこともできなかった」

「本当にあり得ない状況だった。ものすごく悲しい。ある母親は、2人の子どもをなんとか走らせようとしていた。みんな逃げまどっていたよ」

(c)AFP