【3月24日 AFP】世界への手本として称賛される一方で厳しく非難されることもある、ドイツの歴史的な「エネルギー転換」政策だが、化石燃料からクリーンエネルギーへ今世紀半ばまでに移行するという野心的な目標は依然として、大きな課題に直面している。

 アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相率いる現政権は、原子力エネルギーを放棄するという考えを独自のものだと自慢することはできない。

 ドイツにおける脱原発はもともと、ゲアハルト・シュレーダー(Gerhard Schroeder)前首相が率いた社会民主党(SPD)と環境保護を掲げる緑の党(Green Party)の連立政権が2000年に着手した政策だった。

 2010年後半、メルケル首相はシュレーダー前首相の計画を破棄することを決定。

 だが、2011年3月11日の福島第1原子力発電所での事故を受け、メルケル首相は政策を180度転換、物理学者である同首相は即座にドイツで最も古い原子炉の停止を命じ、2022年までに全原発を停止する計画を復活させた。

 それ以降、2050年までに電力需要の80%を再生可能エネルギーでまかなうとする目標のもとに進められる欧州最大の経済大国ドイツの「エネルギー転換」は、世界の注目を浴びている。

「海外の反応は、『世界のその他の地域への手本』と『進むべき道ではない』との間で揺れた」と、ドイツのエネルギー関連のシンクタンク「アゴラ・エネルギーベンデ(Agora Energiewende)」のパトリック・グレイシェン(Patrick Graichen)氏は回想した。

 隣国のフランスなど他の国はこれ以降、ドイツに追随して「グリーン」エネルギーの開発、推進を決定した。