【3月8日 AFP】中国陝西(Shaanxi)省の西安(Xian)で、故障したエレベーターの中に1か月にわたって閉じ込められた女性が遺体となって発見されたことを受け、同国のインターネットユーザーらは、都会の冷淡さを嘆くコメントを次々と投稿している。

 メディア報道によると、遺体で発見された女性(43)は精神疾患を患い、問題のエレベーターのあった建物で独り暮らしをしていた。1月末に故障したエレベーターの修理に訪れた保守点検の作業員が、内部に人がいないことを十分確認せずに電源を切ってしまい、閉じ込められたとみられている。修理作業はそのまま春節(旧正月、Lunar New Year)休暇で中断し、3月1日まで再開しなかったことから、遺体は1か月後にようやく発見された。

 中国のインターネットユーザーたちはこの出来事にショックを受け、現代社会の人間関係の無関心さを嘆いている。マイクロブログ「新浪微博(Sina Weibo)」のあるユーザーは「こんなことは荒野でしか起きないと思っていた。しかし実のところ人が密集している都会も、鋼の森でしかない。私たちはこれだけ多くの人に囲まれ、(ネット上の)チャットグループでこれだけたくさんの『仲のいい友達』を持ちながら、本当に関わりを持つ人はほとんどいない」と投稿。また別のユーザーは、「人に嫌われて、独り暮らしで、誰も関心を持ってくれない女性になるのが怖い」と書き込んだ。

 中国では安全に関する規則や基準がしばしば無視され、汚職などのため規制の実施も緩いことから、安全対策の不備による事故が頻発している。昨年7月にも湖北(Hubei)省の商業施設でエスカレーターの床が抜け落ち、女性が中に巻き込まれて死亡する事故が起きている。

 7日の中国メディアは、エレベーター保守業界や不動産管理会社に広がっている怠慢を激しく非難。また、ニュースサイト「中国江西網(jxnews.com.cn)」は論説で「病気だった女性の世話をする人間が誰もいなかった。(彼女の親戚が)どうしてそうも無関心だったのかは理解不能だ。もしも世話を受けていれば、こうした不幸は起こりようがないはずだ」と記し、女性を独り暮らしさせていた遺族にも批判を向けた。(c)AFP