【3月7日 AFP】インド西部ラジャスタン(Rajasthan)州の村で、家族の意向に反して異なるカーストの男性と結婚した女性が、兄弟に焼き殺される事件があった。地元警察が6日、明らかにした。インドでは、家族の名誉を汚したとの理由で身内を殺害する、こうした「名誉殺人」がしばしば起きている。 

 被害者のラーマ・クンワル(Rama Kunwar)さん(30)は8年前にカーストの異なる男性と駆け落ちして村を離れていたが、もう家族が結婚を許してくれることを期待して4日に帰省した。

 しかし、まだ怒りが収まっていなかった兄弟らは夫の親族宅にいたクンワルさんを家の外へ引きずり出し、村人らの前で火をつけた。

 地元ドゥンガルプール(Dungarpur)県の当局者はAFPの取材に「彼女は今なら両親が許してくれると思っていたが、兄弟たちは彼女が村に戻ったと知るなり、すぐに(クンワルさんのいた)家に駆け付け、彼女を引きずり出した」と語った。

 クンワルさんは助けを求めて叫んでいたが、誰も助けようとしなかったという。さらに焼殺の証拠を隠滅するため、クンワルさんの葬儀はその日のうちに行われた。

 だが、クンワルさんの義母の通報を受けた警察が現場に急行し、証拠を採取するために火葬現場に水をかけて火を消した。

 事件では、これまでにクンワルさんの兄弟のうちの1人と男6人が逮捕されたが、警察はさらなる容疑者の行方を追っているという。

 インドでは数百年前から、家族や地域社会が認めない関係にある男女を名誉を汚したとの理由で殺害する「名誉殺人」の風習があり、現在も地方部を中心に残っている。インドの最高裁判所は2011年、「名誉殺人」に関与した者には死刑を科すとの判断を示している。(c)AFP