【2月29日 AFP】エジプトの検察当局は28日、日本で開催されたクラブW杯(FIFA Club World Cup)でも活躍した元サッカー選手のモハメド・アブトレイカ(Mohamed Aboutrika)氏を、「テロリスト集団」への資金供与の疑いで取り調べる方針を明らかにした。

 アブトレイカ氏は昨年5月、イスラム組織「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」の資金源の疑いが指摘されている旅行会社ツアーズ(Tours)の株券を差し押さえられていた。同胞団は、2013年7月に軍によって追放されたムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領の出身母体で、同年12月からテロ組織として非合法化されている。

 検察の声明によれば、同胞団の資産押収を担当する委員会から「テロ集団への資金供与」の容疑をめぐり、アブトレイカ氏ら数百人について付託があった。検察当局者は、これらの人物の書類の調査に着手する方針だと話した。

 アブトレイカ氏は委員会による株券差し押さえの決定に対し、行政裁判所に不服申し立てを行っており、審理が4月5日に予定されている。同氏は昨年5月の国営日刊紙アルアハラム(Al-Ahram)とのインタビューで、自身の会社や提携相手が過去に同胞団に資金を提供した事実は一切ないと否定していた。

 エジプトのアブデルファタフ・サイード・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)大統領は、同国で初めて自由選挙で選出された大統領だったモルシ氏を追放して以来、同胞団のメンバーや支持者を厳しく取り締まっている。

 アブトレイカ氏は、同世代のアフリカ出身サッカー選手としては最も成功した一人で、2012年の大統領選ではモルシ氏支持を公言していた。(c)AFP