【1月28日 AFP】中国政府批判で知られる現代芸術家の艾未未(アイ・ウェイウェイ、Ai Weiwei)氏(58)は27日、デンマーク議会が難民申請者から一定額以上の金品没収を認める法案を可決したことに抗議し、首都コペンハーゲン(Copenhagen)で開催していた自身の展覧会を打ち切ると発表した。

 コペンハーゲン(Copenhagen)のファウアスコウ財団(Faurschou Foundation)では、昨年3月~今年4月半ばの会期で艾氏の美術展「Ruptures」が開催され、陶磁器でできた「ヒマワリの種」など代表作が展示されていた。

 しかし艾氏は、画像投稿サイトのインスタグラム(Instagram)とSNS最大手フェイスブック(Facebook)の公式アカウントで、「艾未未はファウアスコウ財団での美術展を打ち切ることを決定した。これは、デンマーク議会で難民申請者の財産没収や、家族呼び寄せの制限を認める法案が可決されたことを受けての決定だ」と表明した。

 ファウアスコウ財団を運営するイェンス・ファウアスコウ(Jens Faurschou)氏は、AFPの取材に「艾氏の決断を支持する。(法案通過は)自由と人権に関わる問題で、非常に残念なことだ」とコメント。「デンマークは、欧州と中東で現在起きている最大の人道危機において、非人間的で象徴的な政策の最前線に立とうと決めた。私たちは、デンマークにはむしろ重大な人道危機の解決に向け、尊敬に値する欧州らしい解答の最前線にこそ立ってほしかった」と述べた。

 艾氏は今月初め、ギリシャのレスボス(Lesbos)島で難民たちに会って苦境を聞き、命の危険を冒して海を渡った難民たちの記念碑を製作する計画を発表していた。(c)AFP