【1月10日 AFP】2015-16アルペンスキーW杯は9日、オーストリアのアルテンマルクト・ツァウヘンゼー(Altenmarkt-Zauchensee)で2本滑走の女子滑降第4戦が行われ、スピード系の女王リンゼイ・ボン(Lindsey Vonn、米国)が2本ともにトップタイムをたたき出し、圧巻の優勝を飾った。

 W杯で通算72勝目を挙げたボンは、女子滑降でもアンネマリー・モザー・プレル(Annemarie Moser-Proell)氏の歴代最多に並ぶ36度目の優勝を飾った。ボンは、モザー・プレル氏が保持していたW杯史上最多の通算62勝をすでに更新しており、この日は同氏が会場で見守る中、滑降の最多優勝記録にも並んだ。

 優勝したボンはツイッター(Twitter)上に、「次のレースが次の記録に!これ以上の幸せはないわ!今日は伝説のA・M・プレルさんが来てくれたの!」と投稿している。

 1本目の試技をほぼノーミスで終え、1分4秒94をたたき出したボンは、この時点でカナダのラリッサ・ユーキウ(Larisa Yurkiw)に0秒91差をつけると、2本目では1分6秒23をマークし、合計2分11秒17を記録した。

 2009年の世界選手権(2009 FIS Alpine World Ski Championships)と、翌年のバンクーバー冬季五輪で女子滑降を制している31歳のボンは、「2本滑走の滑降が好き。何か違うことをできるでしょう」とコメントした。

「以前のルールが一番良いと思う。いずれにしろ、何か違うことをやるのは面白いわ。自分の限界に挑戦するのは良いことだし、1本目でトップに立つとプレッシャーも生まれるからね」

 2本合計では、ユーキウが1秒0差の2位に入り、地元オーストリアのコーネリア・ヒュッター(Cornelia Huetter)が、1秒66差の3位だった。

 曇天の中、あっという間にコースが滑走跡に埋め尽くされると、多くの選手がコンディションの調整に苦しみ、ボンの宿敵ララ・グート(Lara Gut、スイス)は1本目で、ティナ・ワイラター(Tina Weirather、リヒテンシュタイン)は2本目で、それぞれ失格になった。

 ボンは、「2本目をあんなに有利な状況で迎えられるとは思っていなかった」と振り返り、「2本目では少し守りの姿勢で滑った。でこぼこしていて、多くの選手が苦しめられていたからね」と攻略法を語った。

 優勝の結果、ボンは総合首位のグート(658ポイント)に58ポイント差まで迫り、10日のスーパー大回転に臨む。(c)AFP