【9月12日 AFP】ノルウェーの警察当局によると、今年に入り、シリアの戦乱を逃れてきた人々を中心に200人を超える亡命希望者が、ロシア経由でノルウェーに入国しているという。

 クルド系シリア人のアフマド・タレブさん(25)は、自転車でロシア国境を越えて北極圏のノルウェー領に入った難民の一人だ。タレブさんは「地図を見てこれで行こうと決心した」という。

 ノルウェー入りした移民が移送される首都オスロ(Oslo)にある難民中継センターにいたタレブさんは、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」などによって壊滅的な打撃を受けたシリア北部のアインアルアラブ(Ain al-Arab、クルド名:コバニ、Kobane)を7日前に離れた。「海は危険だ。でも(ロシアの)ビザは買えば、金を払って行くだけだ。この方が早いし安全だ」と語った。

 地中海(Mediterranean Sea)を渡る選択をした多くの難民たちは、航海に適さない定員超過の小舟に乗って命を危険にさらした上、欧州上陸後もさまざまな障害に直面する。国連(UN)によれば、今年1月以降に地中海を渡って欧州入りした移民・難民は43万人を超えた他、欧州に向かう途中で2850人が死亡また行方不明となっている。

 そうした状況の中、難民たちに欧州への新たな扉を開いているのが、荒涼とした場所を通ることも多い遠回りのルートだ。

 タレブさんは交流サイトのフェイスブック(Facebook)でやりとりしていて、ロシア経由で欧州へ行くことを思いついた。タレブさんは旅の詳細を語ろうとしなかったが、シリア人にとって国が友好関係にあるロシアのビザを取得するのは比較的容易なようだ。