【9月9日 AFP】8日に各地で行われたサッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)アジア2次予選で、パレスチナが今予選初となるホームゲームに臨み、アラブ首長国連邦(UAE)とスコアレスドローに持ち込んだ。

 パレスチナは当初、2次予選の開幕をホームのサウジアラビア戦で迎える予定だったが、サウジアラビア側が「異常な状況」という漠然とした理由から、ヨルダン川西岸地区(West Bank)へ入ることを拒んでいたため、サウジアラビアのホームゲームに変更されていた。

 しかしこの日は、イスラエルの首都エルサレム(Jerusalem)郊外のアッラーム(Al-Ram)に、パレスチナの政治家の名前を取って建てられたファイサル・フセイニー国際スタジアム(Faisal Husseini Stadium)へ、約1万4000人のパレスチナサポーターが集まった。

 そして試合はパレスチナの選手のシュートがゴールに飛んだ場面や、相手に直接FKを与えたもののGKが弾き出した場面など、前半から一喜一憂した。

 西岸地区の北部の町ナーブルス(Nablus)の自宅から、70キロメートル以上を旅してアッラームへやって来たサポーターの男性は、 「難しい状況だし、占領や重圧下での生活という問題はあるけど、代表チームがこうやって頑張っているのを見られてすごくうれしいよ」と話した。

 一方、近くのラマッラー(Ramallah)から来たという女性は、イスラエルの検問所で車を止められ、最後は徒歩で現地入りしなければならなかったと話した。

 パレスチナサッカー協会(PFA)の関係者によれば、サウジアラビアがファイサル・フセイニー国際スタジアムでの試合を拒んだのは、イスラエルの検問所を抜けなければ会場入りできないことに、二の足を踏んだからだという。

 アラブ諸国の中には、イスラエルによるパレスチナ自治区の占領が「常態化」していることを理由に、自治区での試合を拒む国も多い。

 PFAのジブリール・ラジューブ(Jibril Rajoub)会長は、パレスチナの選手らの移動を制限しているとして、イスラエルの資格停止を国際サッカー連盟(FIFA)求めたこともある。

 そのラジューブ会長は、今回のUAE戦開催について、「パレスチナが存在していること、パレスチナ人が、自分たちの独立国家で暮らす権利を有していること」を示せたと話した。

 アジア2次予選で、パレスチナはUAE、サウジアラビア、マレーシア、東ティモールと同じグループAに入っている。初戦のサウジアラビア戦は2-3で敗れたものの、続くマレーシア戦は6-0で大勝した。(c)AFP