【9月2日 AFP】ノルウェーは1日、自国の受刑者のオランダへの移送を開始し、最初の25人がオランダの刑務所に到着した。ノルウェーの刑務所が満杯になったことを受けた措置。

 ノルウェーでは受刑者を独居房に収監することが多いが、収容場所がないとの理由で有罪判決を受けた1000人以上が収監を待っている。問題解決のためノルウェーはオランダ政府からノルゲルハーフェン(Norgerhaven)刑務所を借用。両国間の正式な受刑者引き渡し式典を2日に控え、最初の受刑者25人が1日、同刑務所に到着した。

 ノルウェーの受刑者を受け入れるため別の刑務所に移送されることになったオランダ人受刑者は反発。ノルゲルハーフェン刑務所にとどまることを求めて裁判を起こしたが敗訴した。またノルウェーのある受刑者家族団体は、受刑者に自宅に近い刑務所で服役する権利を認めている同国の原則に違反しており、外国での服役は受刑者の社会復帰を難しくし、家族の面会も難しくなるとして、受刑者移送に反対している。

 国内メディアが「豪華刑務所」と呼ぶこの刑務所では、長期受刑者は庭で野菜を栽培し、ニワトリを育て、調理し、舎房から牧歌的な風景を楽しむことができる。第一陣としてノルウェーから移送される受刑者112人のうち79人は志願者で、残りは意志に反して移送される。同刑務所はノルウェーから242人を受け入れる予定だという。

 両国の合意期間は最長5年となっており、この間にノルウェーは老朽化が進んだ刑務所の改装や刑務所の新設などで収容能力の向上を目指す。移送された受刑者は、自由度が高いとして知られるノルウェーの刑罰制度のもと刑に服す。看守長はノルウェー人だが、残りの刑務所スタッフはオランダ人の予定。収監者らは出所前にノルウェーに戻される。

 オランダ当局によると、今後5年間で約700室の監房が空室になる見込み。オランダは2010年の合意のもと、既に550人のベルギー人受刑者をベルギー国境に近い、南部ティルブルフ(Tilburg)の刑務所に受け入れている。 (c)AFP/Pierre-Henry DESHAYES with Maude BRULARD in The Hague