【8月24日 AFP】第15回世界陸上北京大会(15th IAAF World Championships in Athletics Beijing)の男子100メートル決勝で金メダルに輝いたウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)が23日、自身の輝かしいキャリアで「最も難しいレース」だったと明かしたものの、自分を疑うことはなかったと述べた。

 ボルトは「鳥の巣(Bird's Nest)」こと北京国家体育場(Beijing National Stadium)で行われた決勝で9秒79を記録し、ジャスティン・ガトリン(Justin Gatlin、米国)を0.01秒差で退けた。

 大会連覇を達成したボルトは、これで2008年の北京五輪で短距離2冠を達成して以来、五輪と世界陸上の100メートルと200メートルで計10個の金メダルを獲得しており、短距離界を支配し続けている。

 関節痛のため、今大会までの6週間で実戦から遠ざかっていたボルトは、「間違いなく、今までで一番難しいレースだった」と語っている。

「今季は良くないレースも多く、ジャスティンは素晴らしい走りで好タイムを出していた」

「ここ何年かで、ガトリンが世界陸上に出場すれば必ず強敵になると思っていた。だから勝つためには、最高の走りをする以外ないとわかっていた」

「今季は浮き沈みがあったし、良いタイミングでいろいろなことがうまくはまったという意味で、自分にとっては間違いなく、これまでで最高の勝利だ」

 今回のボルトの勝利は、大会前に発覚したドーピング問題で陸上界が揺れていることを考えると、いっそう大きな含みを持つ。

 ボルトは、自身が「ひたむきに努力」すればクリーンに戦えるという見本だと認める一方、ドーピングで2度の出場禁止処分を受けているガトリンを退けた今回のレースは、薬物に手を出す選手に対する象徴的な勝利だったのではという質問に対し、不快感を示している。

「君たちがそういう方向に持っていきたいだけだろう。僕がここに来た目的は、自分の歴史的な実績をさらに伸ばし、世界陸上で勝ち続けることだけだ」

「そういう質問はほかの選手にすればいい。自分の力に不安があって、これまで負けてきた選手にね」

「僕は自分を疑っていないし、自分の力をわかっている。僕がやるべきことは良いレースをすることだ。完璧ではなかったが、良いレースはできた」

(c)AFP/Luke PHILLIPS