【8月14日 AFP】政治家が公費負担の交通手当を無駄遣いしている現状にうんざりしたオーストラリア人男性が、家族と過ごすバカンス費用を代わりに出してくれと政治家に呼び掛けたところ、一般市民から大きな反響があった。

 3人の子どもを持つ父親のスティーブン・キャラハン（Stephen Callaghan）さんは、インターネットを介して不特定多数の人々から出資を募るクラウドファンディングサイト「ゴー・ファンド・ミー（GoFundMe）」上で、「うちの子たちのバカンス費用を払ってください」と題した募金キャンペーンを開始。豪連邦議員らに、議員たちが受給しているのと同額を子どもたちの旅費として支払ってほしいと呼び掛けた。

 一般市民は募金対象ではなかったが、目標額の5000豪ドル（約46万円）を優に上回る総額6000豪ドル（約55万円）以上の寄付を寄せたのは、一般の人々だった。

「なんてこった。オーストラリアの議員は全員、皆さんの足元にも及ばない」。キャラハンさんは11日、募金ページにこう書き込んだ。

 キャラハンさんが自身のブログに記したところによれば、オーストラリアではブロンウィン・ビショップ（Bronwyn Bishop）連邦下院議長（当時）が近距離の移動に公費5000豪ドルをかけてヘリコプターをチャーターしていた事実が発覚したのを皮切りに、次々と政治家の公費乱用が明るみに出て批判が高まっていた。

「政治家たちは私たちの税金で、自分の子どもを（航空機の）ビジネスクラスで旅行させている。そういう無頓着さに腹が立って募金を始めたら、ちょっとした関心を集めた」「予想よりはるかに多くの寄付が集まった。全く集まらないと思っていたのに」と、キャラハンさんは記している。寄付のほとんどは「自分と同じように腹を立てた」一般の人々から寄せられたものだったという。

 キャラハンさんは寄付金を使って、3人の子どもたちを豪中央部にある巨大な一枚岩ウルル（Uluru、エアーズロック、Ayers Rock）に連れて行くという念願をかなえる考えだ。寄付金の一部は、車での長旅に備えて安全性の高いタイヤの購入に充てるという。

「ただ、相当の金額（50％以上）は皆さんを代表して寄付するつもりだ」とキャラハンさんは述べ、貧困家庭の児童たちにバカンスの機会を提供しているシドニー（Sydney）の慈善団体スチュワートハウス（Stewart House）の名前を挙げた。

 キャラハンさんは、家族ぐるみで親しくしている友人たち総勢11人で出かけるウルル旅行はまだ先になる見込みだが、旅行計画の進展状況はソーシャルメディア上で更新していくと約束している。(c)AFP