【8月11日 AFP】九州電力(Kyushu Electric Power)は11日午前、 川内(せんだい)原子力発電所1号機(鹿児島県薩摩川内市)を再稼働させた。国内で約2年ぶりに原発の稼働ゼロの状態に幕が引かれた。

 11日午前10時半に起動された原子炉は、同日午後11時ごろに核分裂反応が連続する「臨界」状態に達する見通し。14日には発電を始め、営業運転は9月上旬以降に開始される予定。

 国内の全原発が停止する引き金となった、2011年の東日本大震災に伴う東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所の事故から4年以上。日本の世論では今も原発への反発が根強い。11日、川内原発の前には約200人が集まり抗議の声をあげた。警察ともみ合う場面も報じられた。

 資源に乏しく、一時期は電力の4分の1を原子力に依存していた日本は東日本大震災後、需要をまかなうために関西電力大飯原発(福井県)の原子炉2基を一時的に再稼働したが、13年9月に両方とも運転を停止。その後は約2年間にわたり完全な「原発ゼロ」状態が続いていた。

 政府は福島の事故を繰り返さないために保安態勢を強化し、沿岸部の原発では津波防護壁の高さを足すなど、より厳しい安全規制の新基準を定めた。

 安倍晋三(Shinzo Abe)首相率いる現政権は、40基以上ある原子炉の一部を再稼働させることに強い意欲を示している。また原発の運転停止で失われた発電量を、コストのかかる化石燃料による発電で穴埋めする状態から脱却したい電力各社も再稼働に意欲的だ。(c)AFP