【7月27日 AFP】あるドライバーは涙を拭き、バイザーを下ろしてレースに戻った。――先日この世を去ったドライバーのジュール・ビアンキ(Jules Bianchi)選手を悼む最後の公式行事が26日、F1第10戦ハンガリーGP(Hungarian Grand Prix 2015)決勝の前に行われ、ドライバーらが1分間の黙とうをささげた。

 ドライバーたちはそれぞれのヘルメットをコースに置くと、そのまわりで肩を組んで輪を作った。そしてビアンキ選手の家族と、マネジャーのニコラ・トッド(Nicolas Todt)氏を招き入れ、祈りをささげた。

 選手と家族が交互に並び、円陣を組む姿には、慈しみと悲しみがにじんでいた。

 2014年の豪雨の日本GP(Japan Grand Prix 2014)で撤去車両と接触したビアンキ選手は、長い闘病の末に、今月17日にこの世を去った。

 輪の中央には、ビアンキ選手のカーナンバーで、国際自動車連盟(FIA)が20日、永久欠番にすることを発表した「17」も置かれていた。

 ビアンキ選手が所属し、昨年のモナコGP(Monaco Grand Prix 2014)では、同選手の健闘で貴重なポイントを獲得したマルシャ(Marussia F1 Team、現マノー)は、チーム全体で哀悼の意を示し、スタッフが「君に会いたい、ジュール」と書かれた幕を掲げた。

 胸にしみる厳粛な静寂のなか、黙とうは1分間続き、そのあとは伴奏に合わせてハンガリー国歌斉唱が行われた。

 ヘリコプターが上空を飛び、なかには涙を流すなど感情を抑えきれないドライバーもいた。それでも行事が終わると、彼らはかがんでヘルメットを拾い、足早にスターティング・グリッドへ向かった。(c)AFP/Tim Collings