【7月5日 AFP】14歳の若さで、デニスはすでにカラシニコフ銃の組み立て方を知っている。ウクライナ政府軍と戦う親ロシア派武装勢力の訓練を受ける、将来の少年兵候補なのだ。

「もし僕が大人だったら、もちろん戦ってるよ」。親露派が占拠するウクライナ東部の奥深くにある街で、乱れた角刈りの痩せ気味の少年は「戦争を見てみたい。銃の撃ち方も習いたいし、戦車も見たいんだ」と興奮気味に話す。横で大人の親露派兵士2人が、うなずきながらそれを聞いている。

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)は今年1月、冷戦終結後の欧州で最も血なまぐさく、最も外交的緊張を招いているウクライナ紛争で、子どもが兵士として使われている証拠はないと発表した。ユニセフの推計では現在、世界20か国近くの紛争で子ども約25万人が兵士として搾取されているが、その多くはアフリカだ。一方、欧米諸国の支援を受けるウクライナ政府は、親露派武装勢力が制圧した学校でかなりの数の子どもが兵士の訓練を受けていると非難する。

 東部ドネツク(Donetsk)地方の町ハルツイスク(Khartsyzk)では、14歳から19歳までの若者約20人が、夏休みが始まってから数週間、戦闘訓練を受けている。デニスのように基本演習を受けている子どももいる。他にも、17歳のアリナのように武装勢力司令部が教える応急手当てのクラスを受ける子どもたちもいる。

 しかし、過去15か月間で6500人が死亡した紛争にはまり込んでいる状況下で、デニスの両親は当然、警戒している。「2人とも戦争が大嫌いで、僕と戦争の話なんてしないんだ。ニュースさえも見ないんだ」とデニスはいう。