■豊富な資金と兵器

 ISが成功を収めている背景には、潤沢な資金や豊富な武器、兵器に加え、シリアやイラクの国民が持つまっとうな不満につけこむ能力など、さまざまな要因がある。米ランド研究所(RAND Corporation)の政治学者、パトリック・ジョンストン(Patrick Johnston)氏は、ISは週に約200万ドル(約2億5000万円)の収入を得る「世界で最も資金力のあるテロリスト集団であり続ける」と述べた。

 ISが握る石油関連施設を狙った米主導の有志連合による空爆や原油価格の下落を受けて、資金は減少したものの、ジョンストン氏によれば、ISはそれを補うため「支配地域での金品強奪や住民への課税、略奪した物品の転売」などの手段に出ている。

 さらに重要な点は、ISが活動費を比較的低く抑えられていることだ。外国人を中心とした新規戦闘員を安定的に確保でき、戦闘で使用する武器や兵器は、敵対勢力や他の反政府組織との戦闘で強奪したものが大半を占める。

 米シンクタンク「ブルッキングス研究所(Brookings Institution)」の中東研究部門ブルッキングス・ドーハ・センター(Brookings Doha Center)のチャールズ・リスター(Charles Lister)氏によれば、ISの戦闘員はさまざまな小型武器や軽兵器のほか、大砲や対戦車砲、「絶え間なく供給されるように思える小型トラックや敵から奪った装甲車両、そしてシリアでは戦車」も入手可能となっている。