【6月25日 AFP】陸上男子5000メートルと1万メートルで五輪と世界選手権を制しているモハメド・ファラー(Mohammed Farah、英国)のコーチを務めるアルベルト・サラザール(Alberto Salazar)氏は24日、禁止薬物を使用して選手を支援したと伝えた英国放送協会(BBC)のドキュメンタリーの内容を否定する公開書簡で、「ドーピングを許可することは決してない」と明かした。

 書簡は、ナイキ・オレゴン・プロジェクト(Nike Oregon Project)のホームページ上で公開された。

 キューバ生まれの米国人であるサラザール氏は、現役時代はニューヨークシティマラソン(New York City Marathon)で三度、ボストン・マラソン(Boston Marathon)でも一度優勝し、五輪にも出場。コーチとしては、2012年ロンドン五輪の男子1万メートルで金メダルを手にしたファラー、銀メダルを獲得したゲーレン・ラップ(Galen Rupp、米国)を指導している。

 非営利の調査報道機関「プロパブリカ(ProPublica)」との共同制作で今月放映されたBBCのドキュメンタリーは、サラザール氏が2002年に当時16歳だったラップにアナボリック・ステロイド(anabolic steroid)を使用したとし、同氏を反ドーピング規則に違反していると糾弾した。

 サラザール氏はこれに対し、「ドーピングを許可することは決して無い。私が指導している選手に禁止薬物を使うことを許したりしたことも、今後許すこともない。禁止薬物をどんな選手にも勧めることはしない。われわれは、厳しい練習を積み重ねて成功をつかんでおり、その成果を誇りに思っている」と反論した。

 このドキュメンタリーはまた、サラザール氏が甲状腺とぜんそくの薬の処方薬の使用を推奨し、治療目的であれば禁止薬物使用の許可が出る規則を乱用していたと伝えた。

 ラップを14年間指導しているサラザール氏は、同選手がぜんそくと甲状腺疾患を抱えているとし、競技力のために薬を摂取しているとするのは「不正確でつらいこと」だと考えを明かした。

「ゲーレンは、生まれてからほとんどこの方アレルギーや呼吸に関する問題を抱えている。ぜんそくの薬を服用することで通常の呼吸ができる。ゲーレンが禁止薬物を使用したことは決してない」

(c)AFP