【6月12日 AFP】イランと主要国との核協議でスパイ活動が行われていた疑惑が浮上し、協議会場があるスイスとオーストリアの当局が捜査を開始したことが11日明らかになった。スパイ活動への関与が取りざたされているイスラエルは、疑惑を強硬に否定している。

 イランの核開発をめぐる協議は、制裁解除の見返りにイランが遠心分離機の一部停止や査察を受け入れるなどとした歴史的な合意の最終合意期限が今月30日に設定されている。

 だがイスラエルはベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が「イランの核兵器開発への道を阻止するものではない」と批判するなど、合意に強固な反対姿勢を見せている。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)は10日、イランとの核協議でマルウエア「Duqu」を用いたスパイ活動が行われた可能性があるとの露ITセキュリティー会社「カスペルスキー(Kaspersky Lab)」の報告を伝えていた。

 これに対し、イスラエル側は一連の疑惑報道を真っ向から否定。ツィピ・ホトベリ(Tzipi Hotovely)副外相は11日、イスラエル軍ラジオで核協議でのスパイ活動に「イスラエルが関与しているとの海外報道は事実無根」と切り捨てた。

 スイス司法当局は「スイス国内で不法な情報活動が行われた疑い」で5月6日に、一連の協議におけるスパイ疑惑の捜査許可を政府から得て、その6日後にパソコンなどを押収したことを明らかにした。核協議はスイス内の複数のホテルが会場となったが、これらのホテルが捜査対象となったかどうかは不明。

 同様に数回核協議が行われているオーストリアも11日、会議会場でスパイ活動が行われた可能性について捜査を始めたと明らかにした。

 米国務省のジェフ・ラスク(Jeff Rathke)報道官は会議において機密情報漏れなどはなかったと確信していると語った。また国営イラン通信(IRNA)はあるイラン側代表団員の話として、スパイ活動の危険性は常に考慮しており、機密の保護に細心の注意を払っていると伝えた。(c)AFP/Abhik CHANDA