【6月11日 AFP】英ウェールズ(Wales)の裁判所は10日、イスラム教徒の女性(25)を脅して無理やり自分の妻にしようとした実業家の男(34)に対し、強制結婚罪を英国で初めて適用し、禁錮16年の判決を言い渡した。英国社会では強制結婚の慣習がひそかに広く行われており、昨年6月に強制結婚を禁じる法律が英イングランド(England)とウェールズで施行されていた。

 ウェールズ出身の既婚者でイスラム教徒だと主張している被告は、2014年3月~9月に被害者の女性をレイプし、その直後に女性がシャワーを浴びているところを盗撮。自分の妻にならなければ映像を公開すると脅迫したとされる。女性は敬虔(けいけん)なイスラム教徒で、当時はまだ男性経験がなかった。

 女性は裁判で証言する意志を示していたが、それに先立って被告が強制結婚、レイプ4回、重婚、盗撮の罪を認めた。

 英国では、本人の同意なしに結婚を強要された女性が自殺する事件や、親族の意向に背いたとして身内に殺害されるいわゆる「名誉殺人」が起き、社会問題となっている。英政府機関「強制結婚対策部(Forced Marriage UnitFMU)」では、2014年に1267件の強制結婚を取り扱い、被害者の11%が16歳未満だった。

 英国籍の少年少女が親や先祖の出身地であるパキスタンやインド、バングラデシュなどを訪れた際に結婚させられる事例も多いため、強制結婚禁止法は英国人が国外で強制結婚させられた場合にも適用される。

 同法では強制結婚を、一方また双方が納得していないにもかかわらず肉体的、心理的、経済的、性的、感情的な圧力によって結婚を強要されることと定義している。(c)AFP