【6月9日 AFP】南アフリカで交際相手の女性を射殺して禁錮5年の判決を受けた両足義足のランナー、オスカー・ピストリウス(Oscar Pistorius)受刑者(28)が8月に仮釈放されることになった。南ア政府が8日明らかにした。

 収監からわずか10か月での仮釈放に、殺害されたリーバ・スティンカンプ(Reeva Steenkamp)さん(当時29)の遺族は怒りをあらわにしている。

 パラリンピックと五輪の両方に出場して世界的に英雄視されていたピストリウス受刑者は2013年2月14日、鍵がかかっていたバスルームのドア越しに4回発砲しスティンカンプさんを死亡させ、昨年10月に過失致死罪で禁錮5年を言い渡された。 ピストリウス受刑者は、スティンカンプさんを侵入者だと思い込んでいたと主張していた。

 南ア政府の発表によると、ピストリウス受刑者を仮釈放して8月21日から保護観察下に置くことを更生保護当局が承認した。

 これに対し、スティンカンプさんの遺族はネット上で失望のコメントを発表。このなかで「1人の命を奪って10か月の収監では十分でない」と遺憾の意を示し、「収監は抑止力となるべきなのに、(ピストリウス受刑者の仮釈放が)誤ったメッセージを発信することを懸念する」と述べた。その一方で、すでにピストリウス受刑者を許しており報復の念はないと付け加えた。スティンカンプさんはモデルやテレビキャスターとして成功していた。

 矯正当局によると、仮釈放後のピストリウス受刑者は自宅での保護観察となり自由時間は1日1時間に制限されるが、徐々に緩和される見通しだという。(c)AFP/Pheladi SETHUSA