【6月4日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)のジェローム・バルク(Jerome Valcke)事務局長は3日、米当局が捜査中である1000万ドル以上の不正送金への関与について、無実を主張した。

 バルク事務局長は、世界のサッカー界を統括する組織を取り巻く汚職スキャンダルが発覚したことを受け、すぐに辞任することはないとしているものの、ジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)会長の後任が決定する際には、辞任する可能性を示唆している。

 仏ラジオ局フランス・アンフォ(France Info)に対してバルク事務局長は、「私にやましいところはないし、罪の意識はまったく感じていない。だから自分が無実であることを正当化する必要もない」と語った。

 バルク事務局長は、南アフリカと北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)のジャック・ワーナー(Jack Warner)元会長が、2008年にFIFAを経由して1000万ドルを支払ったとされる汚職事件で、鍵を握る人物として浮上している。

 米捜査当局はその金銭が賄賂であって、2010年のW杯(2010 World Cup)で南アフリカが開催地に決定した見返りだったとしているが、FIFAはこれについて、2011年に別の汚職疑惑でFIFA副会長を辞任したワーナー氏と南アフリカを仲介しただけだとしている。

 バルク事務局長は、FIFA宛てに送付される書簡はすべて自分が受け取っているため、支払いについては知っていたものの、送金を行う権限はなかったと主張した。

 2007年から事務局長を務めている54歳のバルク氏は、「私に支払いの権限はない。1000万ドルという巨大な金額であればなおさらだ。それに何よりも、FIFAと無関係の口座については関与できない」と主張した。

 バルク事務局長によると、送金の権限を握っていたのは、当時FIFAの財政部門で責任者を務めていたフリオ・グロンドーナ(Julio Grondona)氏だとしている。アルゼンチンサッカー協会(AFA)の会長だったグロンドーナ氏は、昨年すでに死去しており、その在任時にはバルク事務局長が右腕を務めていた。

 南アフリカは、巨額の贈収賄により米国で起訴されているワーナー氏に送金された1000万ドルについて、カリブ海地域の開発プロジェクトのためのものであると主張している。

 南アフリカのスポーツ大臣を務めるフィキレ・ムバルラ(Fikile Mbalula)氏は、支払いは「公明正大なもの」で、賄賂ではなかったと強調した。

 バルク事務局長も、「FIFAは、南アフリカ政府の決定により2010年W杯の予算から1000万ドルを削減する旨の書簡を受け取っている。だからその額は、プログラムの支援に割り当てられることになった」と話している。

「これらの資金は、CONCACAFの会長を務めていたジャック・ワーナー氏に送金されることになった。そして金銭は、ジャック・ワーナー氏が指定した口座に振り込まれた」

 バルク事務局長は、今回の問題で自分の取りざたされていることについて困惑していると語っている。

「あれはFIFAのお金ではない。今回の汚職問題において、自分の役割は見いだせない」

「私は2007年から事務局長を務めているが、汚職スキャンダルのどこに、どのようにして私が関与したというのか、その根拠が理解できない」

 2日に辞意を表明したブラッター会長は、バルク氏がマスターカード(MasterCard)との訴訟問題をめぐり、FIFAのマーケティング幹部を「放免された」わずか数か月後に、同氏を事務局長に任命した。

 54歳のバルク事務局長は、昨年のW杯ブラジル大会(2014 World Cup)に向けて会場建設や準備を加速するように指示するなど、たびたびFIFA代表の役割を果たしている。

 自身の将来についてバルク事務局長は、「いつも話しているように、私はブラッター会長の事務局長だ。2016年早々には新しいFIFA会長が決まる。通例では、会長が事務局長を選出する」と語った。(c)AFP