【6月2日 AFP】イラク・サラハディン(Salaheddin)州で1日、警察基地に対する大規模な自爆攻撃があり、少なくとも37人が死亡した。複数の警察当局者によると、同州にある警察の基地で大量の爆発物を載せた車両を自爆犯が爆発させ、少なくとも37人が死亡、30人以上が負傷したという。

 死傷者は近接する都市サマラ(Samarra)の中核病院に搬送された。ある医師によると、犠牲者の大半は警察官だという。現場は、サマラと首都バグダッド(Baghdad)の北西にあるタルタル(Tharthar)湖の間にある警察の基地。犯人は戦車で突入したという複数の警察官の証言もある。

 イラク治安部隊は、サラハディン州に隣接するイラク西部アンバル(Anbar)州の州都ラマディ(Ramadi)を制圧したイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に対する作戦を続けているが、ラマディ奪還には程遠い状況だとみられている。

 攻撃を受けた基地はアンバル州のISの物資補給ルート遮断を目指した軍事作戦のために使われていた。ラマディはこれまで、政府軍ならびにイラク政府と同盟関係にある地元部族の戦闘員らが1年以上死守してきたが、先月17日にISに制圧された。

 イラクのハイダル・アバディ(Haider al-Abadi)首相は治安部隊の大敗を受け、イランに支援されているイスラム教シーア派(Shiite)の民兵を含む「人民動員隊」も動員。従来イラクと米国の両政府は、スンニ派(Sunni)の拠点となっているアンバル州へのシーア派民兵の動員には消極的な姿勢を示していた。

 IS戦闘員らは昨年、撤退するイラク政府軍から軍用車両や武器、弾薬などを奪った。ISは前例のないほど多数の大規模なトラック爆弾を使ってラマディの政府側拠点を攻撃し、その後も毎日のように車両を使った自爆攻撃を仕掛けている。

 ラマディをISに奪われたアバディ首相は政府側が数日のうちに同市を奪還すると断言していたが、トラック爆弾によって政府側部隊がラマディに入れずにいることを認めている。(c)AFP/Salam Faraj