【6月1日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が、支配下に置くイラク北部モスル(Mosul)で、今月1日から男性のあごひげを義務化し、違反者は投獄すると宣言した。

 ISはモスルでここ数週間にわたり、6月1日からあごひげを強制することを予告するビラを配布していた。ビラは「現代の理容師が行っていること、男性のひげをそることや切ることは、罪の共犯だ」と記している他、イスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の言行録「ハディース」を引用し、ムハンマドはひげそりを禁じていたと主張。さらに、「イスラム警察の兄弟たちのおかげで、ひげそり禁止令が発令された。違反者は収監される」と述べている。

「カリフ制国家」の樹立を宣言したISは、1年前に制圧したモスルをその「首都」と位置付け、軍事的拠点とするだけではなく、国家建設の実験場として、教育から店舗の営業時間まであらゆる規制を行っている。ISが制圧したイラクの他の都市と異なり、モスルには今も多くの民間人が閉じ込められた状態にあるため、空爆作戦の実行は困難だ。

 AFPの取材に仮名で応じたモスル市民の一人、ライス・アフメドさん(18)は、自分のあごにひげが生えていないことから、投獄されるのではないかと恐れていると語った。「年の割に自分はひげが生えるのが遅い。彼ら(IS)は自分たちの命令に逆らったり、命令を無視したりする者は誰にでも容赦ないから怖い」

 市内東部に住むタクシー運転手のナディム・アリさん(30)は、ひどい発疹の原因になるため、あごひげや口ひげを生やすことができない。アリさんは宗教警察に医師の診断書を提出したが「彼らはまったく気にしない。うち1人には、ひげをそるならば家の中にいた方がいいぞと言われた」と語った。(c)AFP/Jean-Marc Mojon